1月1日
 皆さん、あけましておめでとうございます。
 この冬は一月二月より、十二月の方が寒いと言われ、早くから雪の被害が伝えられていたけど、皆さんの所は大丈夫だっただろうか? 毎年雪下ろしなどの作業を強いられる所の人達の様子を見ると、温暖な地方に住んでいるボク達は幸せだなぁと思うよ。
 昨年は何をやっていたのか分からない年だったとつぶやくミッチーにも新しい年が巡って来たようだ。腰痛の悪化で、どっこいしょムードが濃くなるミッチーにはいったいどんなことが待っているんだろうなぁ。どうぞボクと一緒に見守ってやってね。


      1月3日
 老人福祉施設に勤めるミッチーの弟ぎみは、大晦日も元旦も通常勤務で、今日は夜勤だとか…。毎年買っている宝くじはいっこうに当たらないのに、こんなことに大当たりで…と苦笑い。そこのご老人達もお正月だからって食事しない訳にもいかないし、トイレに行かない訳にもいかないから、仕方ないよね。
 その弟ぎみは若い頃は至って健康的なアウトドアレジャーが好きで、オートバイでもよく走っていたそうだ、結婚後そんなことから段々遠ざかってしまったが、今彼の息子がバイクに乗る年頃になり、そんな姿を見守っているうちに、自分も叉無性に乗りたくなったと言っている。母上など今更そんなバイクを乗り回すなどとんでもないとぼやいているが、色んなことに縛られているミッチーには、その彼の気持ちが分かるらしい。
 そうだなぁ。仕事だけで終わる人生も味気ないよね。楽しみがあってこそ仕事にも打ち込めるし、家族にも思いやりがもてるというものだ。


      1月11日
 お風呂場から洗面所にかけて少し手直しする計画があり、今洗面所に置いてある洗濯機を、一時的にミッチーの愛車(電動車椅子)の駐車場へ置くと言われ、そうなったら、愛車はどこかへ追いやられそうなムードだ。
 もし充電できない所へ追いやられたら、その間乗れなくなるので、今のうちに当分必要なものを買って来ておこうと、今日の午後は久し振りにショッピングに出かけた。
 帰ってからてきぱきと買って来たものをそれぞれの置くべき所へ片付けたミッチー。
 でも、えへへ・・・・、ボクはしっかり見ちゃったんだよね、たくさんの板チョコを…。あんなにたくさんあるんだから、来月半ばになったら、きっと一枚位はボクの所にも回って来るだろう。楽しみだなぁ。


     1月21日
 「近頃は出会い系とか企業の宣伝メールばかりで、削除するのにかかりっきりよ」とぼやきながら受信トレイをのぞいていたミッチー、「あら、Kさんだ!」と突然嬉しそうな声になった。
「Kさんってだぁれ?」
「少し前にヘルパーとして知り合ったお友達なんだけどね。携帯からよくメールくれてたんだけど、ある時点からこちらからのメールが届かなくなったから、どうしたのかなと思ってたんだけど、へぇー、そんなことがあったのか」
「そんなことってどんなこと?」
「携帯が盗まれたり、戻って来たと思ったら調子が悪くて修理に出してたんだって」
「ほう、人の携帯を盗む泥棒さんもいるんだね」
「そうね、泥棒さんも色々だね」
「調子が悪くなってもミッチーのアドレスは残っていたんだね。ってことは、その人とは誰が切ろうとしても切れないご縁なのかも知れないよ」
「そうね。大切にしないとね。では早速お返事メールしようっと」


       1月26日
 ミッチーの母上の胃の調子がおかしくなり、病院で診てもらうと言ったら、父上も
「俺も何か持ったりすると胃の辺りが痛むような気がするんで、診てもらおかいね」と言って、夫婦揃って胃腸科を受診。
母上の方は胃の荒れが診られたらしいが、ついでに受診した父上の方が大きなポリープが二つも発見されたとか…。
詳しい検査結果は一週間後に分かるらしいが、とりあえず食事は軽めにというお勧め。
それで母上は食事の献立に悩んでいるみたいだ。
父上は長年糖尿病ともつき合っていて、朝と夜の食事の前にインシュリンを打っているから、人一倍食欲旺盛なので、この食事制限はかなりつらいと思う。
「おい、ミッチーもしっかりつき合ってあげなよ」
{やっぱりつき合わないとダメ?」
「当たり前だろ!」
「はいはい、じゃぁロン君もね」
「はぁー?」


      1月29日
  今日は介護福祉士の試験のある日。これからはヘルパーさん達もこの資格がないと仕事ができなくなるらしい。と言うので、今日の試験にチャレンジする人がたくさんいる。
 ミッチーの水曜日担当のSちゃんも今頃試験用紙とにらめっこしているだろう。彼女はそのフレッシュな見かけによらず5人の子持ちだから、家庭でも一日かけ回っている姿が想像できる。そんな中でヘルパーの仕事もやっているんだから、もうこれ以上のことは消化しきれるものではない。試験が迫っても勉強する時間が取れないのを嘆いていた。試験会場が遠方のため、前日から近くまで行っておかなければならないんだが、勉強不足で試練の結果など期待できない彼女にとっては、家事から解放され、泊まりがけでちょっぴり遠くまで行けることはささやかな楽しみでもあるようだ。
 そんな彼女のことを思えば、ミッチーなんか自分の時間はたっぷりあるんだし、どんな勉強でもできるのに、くだらないことばかりやってて、もったいないったらありゃしない。
「えっ、何か言った?」
「いや、別に…。(あっかんべー)」




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           2月5日
 夕方ミッチーが女性友達の一人に送信したメールをちらりとのぞいちゃったんだけど、面白いことが書いてあったなぁ。
「体だけはどんどん先に進んで行く感じだから、体の年齢は80歳位でしょう。ちなみにハートは20歳で、頭の方は10歳位で止まっています。(笑)」
ガタガタの体の年齢嘆きながら、ハートと頭は一番いいところで止まっていると売り込んでいるんだから、図々しいと言うか何と言うか…。

       2月6日
 朝からミッチー、何やら独り言をつぶやきながら、古いカレンダーの紙を切ったり、折り込んだりしていたんだが、午後来てくれたヘルパーさんに 
「今日は工作を手伝ってもらおうかな」と、もちかけた。
何を作るんだろうなと思ったら
「カメラスタンド」だって。
カメラを持てないミッチーは、対象物と高さの合う何かの上にカメラを乗せてシャッターボタンを押すという撮影方法をとっているので、カメラが倒れないようにする為のものがほしかった訳だ。
朝から切ったり折り込んだりしていた紙をヘルパーさんに見せて、
「あの箱をさばいて、その厚紙で、このようなものを作ってみてくれる」ということで、カメラスタンド作りにチャレンジ。
二人でああでもないこうでもないと言いながらやっていたが、30分後、ミッチーの頭の中でイメージした形が何とかできあがった。
いやはや、お二人さん、お見事!

    
       2月11日
 ミッチーの腰痛が感染したのか(?)担当のヘルパーさんの一人が腰痛で休んでいるようだ、
 そのピンチヒッターとして昨日は、現在主任になっているヘルパーさんが来てくれていた。彼女は以前ミッチーと名コンビだったそうだ。何の名コンビかというと、彼女も小柄なので、ミッチーと身長がそれほど変わらず、腕を組んでもらって歩くのにちょうどいいコンビだったという訳。 
 懐かしの名コンビが復活した昨日は、近くの公園までお散歩したようだ。まだ寒かったけど、季節は着々と春に向かっての歩みを続けているようで、桜の木に小さなつぼみがいっぱいついていたとか。
 ミッチーの人生の春は今いずこ…?

     2月14日
  バレンタインだけど、やっぱりミッチーからは何もないなぁと思っていたら、
「ロン君にはいつも心に染み入るお言葉をあげてるから、今更特別何も要らないでしょうしね」と来たもんだ。
「あいよ、本当にいつも心にズキンズキンしみるお言葉をありがとうよ。けど今日は特別な日なんだから、いつもとひと味違うものがあってもいいと思うんだけどなぁ」
「そうね、それじゃあ特別に、皆さんに送るバレンタインメッセージを見せてあげましょう」と言って、パソコンの前へ招待してくれた。
まぁ、チョコの値札見せられるよりましかなぁ。
ねぇパンダさん!!

        2月23日
 どん底気分をなめて、一時は自分の人生はもう終わったかのように、何もかもあきらめ投げやりになっていたミッチーも、いよいよ40代最後の年を迎えた。
 オール2のミッチーの誕生日を毎年忘れないで来てくれるご婦人がいるんだが、今年も大きな鉢植えのチューリップの花を持ってお祝いに来てくれていた。お昼時だったので、早く帰って旦那様の食事を作らなければと言いながらも、少しおしゃべりして行かれたが、ミッチーが冗談言って笑わせたりするので、元のミッチーに戻ったと喜んでくれていた。
 午後はちょうどヘルパーさんが来てくれたので、お風呂に入り、いい女に磨きをかけ、お気に入りのファッションで、自分へのプレゼントだとか言って、カラオケ喫茶へ出かけた。母上達の年代の人ばかりいたようだが、割り込ませてもらって、十八番の懐メロを一曲歌って来たようだ。
 帰ったら、楽しいケンカ友達からのバースディークッキーが届いていた。ボクの目の前で早速一つ二つとつまんでから、ありがとうメールしてたっけ。
 夜は弟一家が来て一緒にバースディーディナーのテーブルを囲む。一才十ヶ月の姪っ子ちゃんが何度も乾杯してくれていたなぁ。 
 そしてパソコンには朝から色んな人からのメッセージが届いていた。共通の趣味の話題を語り合える仲間の輪も広がりそうだ。
 二次障害の体の痛みで、母上をはじめ介助にあたってくれる人達の負担が重くなりそうだと、つらく思っているようだが、ミッチーの背後にはゴッドハンドがついているから、これからも必要な助け手を送ってくれるだろうよ。

        2月28日
  先日誕生祝いにいただいた鉢植えのチューリップが満開になったので、今度はお花だけにスポットを当てた写真をと、昨日ヘルパーさんに軒下にお花をおろしてもらい、縁側からパチリとやっていた。まぁまぁ満足のいくものが撮れたので、今日はその写真をホームページにアップしようとパソコンに向かったが、サーバーに十分な空きスペースがないとのエラーメッセージに、中断せざるをえなくなった。
 “デジカメ撮影記”を始める前、同じエラーが出たので、一度サーバー内にある使っていないファイルをみんな削除したのだが、叉すぐにいっぱいになったのだ。
「ロン君、どうしよう?」
「ボクに聞かれてもねぇ」
「うーん」
「うーん」







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            3月4日
  4月から“障害者自立支援法”などというカッコいい名前で、新しい福祉サービスシステムがスタートするらしい。こんな名前がついているから、さらに充実したものなのかと思ったら、今まで無料で受けていた福祉サービスを1割自己負担せよというもののようだ。
 それに伴い、改めて必要な支援費を申請しなければならないようで、先日市の福祉事務所から、その申請用紙が送られて来た。
 早くその申請書類を提出しないと、今来てもらっているヘルパーさんにも来てもらえなくなるから、書類への記入事項を確認しておかなければならないというのに、どうもエンジンのかかりが悪いミッチー。直接自分で書類に書けないんだから、記入事項を整理して、別の紙にメモしておいて、まとめてどなたかに書いてもらわないといけないのに、そんなにのんきに構えていていいのだろうか。ボクの方がいらいらいしちゃうよ。


      
3月8日
 昨日はミッチールームに珍しく男性のお客様がみえていた。
友達のMちゃんが生後7ヶ月のK君を連れて遊びに来てくれたのだ。
自分の美しすぎる顔を見たら、泣き出すんじゃないかと心配していたミッチーだが、男の子だけどK君は愛嬌抜群でミッチーにもよく笑ってくれた。
だからミッチーも嬉しくなって、ちょっと足の裏つっっいたりして結構遊ばせてもらった。
 まだハイハイはしないんだけど、畳の上にうつぶせになって遊んでいるK君を見て、これなら自分のカメラでも捕らえられそうだと思ったミッチー、早速デジカメ出して来て、シャッター押しまくっていた。
フラッシュの光にも怖がることなく、ご機嫌うるわしいK君、君は最高のモデルだよ〜。

       3月16日
 朝からあくびばかりして、一日中ぼんやりしているミッチー。
外は冷たい雨で、眠気を誘うような陽気でもないんだけど…。
熱でもあるのかと思い、おでこに手を当ててやったけど、全然平熱だし、なまけ病ってとこかな。





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      4月3日
  昨日の日曜日は雨の風の激しい春の嵐の一日だった。せっかく咲いた桜にも散々だったが、お花見を計画していた人達にもお気の毒だ。
  伊勢音頭同好会に入っているミッチーの父上も、そのメンバー達とお花見バーベキューを予定していたらしいが、あいにくの天候で一週間延期されたようだ。楽しみの少なくなった父上も、気の合う人がいるのか、このメンバーの集まりだけは、わりと積極的に参加しているから、来週は青空の下でお花見バーベキューが実現するといいなぁ。
 ミッチーも年明けからもたついていたHPのスペース問題が片づき、ちょっと晴れ々々した気分のよう。
 お世話になっているヘルパー派遣事業所のデスクに懐かしい顔がかえり咲きしたという話もあるし、長くて暗い秋から冬を過ごしたミッチーにも、新しい春がやって来そうだ。


        4月6日
  背中のしっしんがたまらなくかゆくて、昨日病院で薬をもらって来てぬったら、かゆみは治まったようだ。
飲み薬もあって、昨夜飲んで寝たら、その副作用が尾を引いて、今日の昼間も何となく元気がなく、部屋にいても何もする気になれないみたい。
「おいミッチー、どうせ何もしないなら、こんな薄暗い部屋に閉じこもってないで、縁側へ行って日向ぼっこしながら、庭の花でも眺めて来いよ」と追い出してやった。
 しばらくすると少し元気な顔になって部屋に入って来たから、
「ゆっくりして来ればいいのに」と言ったら、
「写真に撮れそうな所にきれいなお花があるから、撮って来るわ。ロン君もアシスタントにおいで」なんて言って、カメラや台にする箱などを持ち、ついでにボクも引っ張って、再び縁側へ…。
  ミッチーが目をつけたのは軒下に置かれている鉢植えのパンジー。なるほど高さ的にはミッチーにも捕らえられそうだ。
「このオレンジ色に焦点を当てたいのよね」と言って、台の上に置かれた鉢をぐるりと回して、オレンジ色の花がよく見えるようにした。
箱の上にカメラスタンドを置き、そこへデジカメをセッティング。
「ロン君も画面を見て教えて。これで見える?」
「もう少し右かな。それと少し小さいよ」
「カメラはこれ以上前に出せないから、こんな時は望遠で…。この位かな?」
「うん、それでシャッターボタン押して!」
「あいよ」
  何枚か撮って、満足し、体にも力が戻って、パソコンいじりたくなったようで、部屋へ戻って行くミッチー。
ボクはもう少し日向ぼっこしていようっと。

         4月11日
 足撮りカメラマンのミッチーの写真も数だけは増えて来ている。家の中でシャッターを押すものはそれなりに工夫して、望遠で撮ったり、斜め撮りしたり、結構面白い出来になって来ているが、外へカメラを持ち出して何かを…という時には、まだまだ足りないものだらけだ。車椅子のステップにじかにカメラを置くと画面が全然見えないので、ミッチーとしてはさっぱり面白くないらしい。見えないものの写り具合を想像してシャッターを押し、後でパソコンへ取り込んで見てみたら、想像以上のモノが写っていたりするかも知れないから、それはそれで楽しめるじゃないかと言ってくれる人もいるが、やはり当人にはあまりおもしろいことではないらしい。
  それで車椅子に取りつけるカメラスタンドをない知恵振り絞って考え、ヘルパーさん達の手で作ってもらっているところだ。ヘルパーさんが来てくれる日に、入浴介助やその他の必要なことをしてもらった後、時間があればそれを作ってもらっているという具合なので、仲々進まない。そして、昨日来てくれた人と明日来てくれる人は違うから、何人もの人の手が加えられる。だから思い違いがあったり、計算ミスがあったりで行きつ戻りつしながら、それでも第一号は後一歩で完成というところまでこぎつけた。もちろん叉後で改造の余地は出て来ると思うが、ミッチーの頭の中でイメージするものを、何人かの人の手で形にして行く楽しい過程を見せてもらっているボクだ。


       4月20日
近頃やたら賑やかになったこの家。一番小さな姪っ子のPちゃんが一日に何度も現れるようになったからだ。
 Pちゃんはもうすぐ2才になる女の子。段々言葉数が増えて、簡単な会話ができるようになった。しっかりした性格を感じさせ、将来的には楽しみなところだが、何しろ今は頭の機械ができあがっていない2才児なので、ごまかしの利かないところが、お相手をする方としてはちょっと大変。
 このミッチールームへも突然飛び込んで来ては引っかき回して行くから、ミッチー伯母さんはひやひやびくびくしている。何にでも興味をもっていじりたがるから、パソコンだけは守らなければというので、彼女の足音がこの家で響いている時は絶対自分もパソコンには近づかないようにしている。
 Pちゃんに色々持ち出されたりするので、この部屋から段々色んなものの姿が消えて行く。ボクもそのうち消されるかも知れない。

           
4月25日
先日の日曜日、高一の甥っ子君が友達とたけのこ掘りをして、大きな袋にいっぱいたけのこのおみやげを持って来てくれた。たくさんあるので一度に食べきれないからと、ゆでたたけのこを酢に漬け込み保存しておくようだ。
 歯抜け婆やのミッチーは、たけのこはあまり食べられないからと言うので、
「私はたけのこの季節にはこれをいただくわ」と言って、“たけのこの里”というチョコレート菓子を召し上がっていらっしゃる。いちごクリームのいい香りのお菓子だ。いつものようにむしゃむしゃ食べるミッチーのそばで、その香りだけちょうだいしているボク…。







                        
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           5月1日
今年の春はまだまだ肌寒い日が多いと思っていたら、5月に入った途端、いきなり30度前後の真夏日になったから戸惑い気味。夏の服なんかまだ出していないので、冬物の中からトレーナーなんかの下に着ていた長袖のTシャツを着て間に合わせたミッチーだ。
 そんな中、海岸に泳いでいる鯉のぼりの撮影に初挑戦すると言って出かけて行った。
 鯉のぼりを撮るのはミッチーには無理だろうと思ったんだけど、車椅子で近づける所にちょうど足技のカメラテクニックでも撮れそうな低い所で泳いでいる鯉のぼりを見つけ撮って来た。
やったね、ミッチー。

      5月7日
 ゴールデンウイーク最終日の今日は朝から雨。遠くへ出かけ、今日帰路につく人達はちょっと大変かも知れないが、昨日までは比較的お天気に恵まれたから、旅行などに出かけた人達は案外いいお遊びの日を過ごせたんじゃないだろうか。
 みんなが楽しんでいる時と言うと、ミッチーの所にはそのしわ寄せだけが来がちになるんだが、このゴールデンウイークはヘルパーさん達もやりくりしてミッチーの所にはちゃんと来てくれたので、不自由をおぼえることもなく、皆さんからの楽しい報告を聞かせてもらうことができたようだ。
 さぁ明日から叉会社や学校が始まり、皆さんにもいつもの日々が戻って来るね。こんな良い季節にたっぷり遊んだ後は、何だか日常やっていることがおっくうになりがちだが、そんな毎日があるからこそ、たまのレジャーや旅行が楽しく感じられるんだと思うよ。

     5月25日
 自分の腰痛もさることながら、母上が体調崩してぐずついていたので、何となく重苦しいムードのミッチーだったが、母上が思いきって検査を受けた病院で、心配していたようなことを言われなかったので、ミッチーの顔にも少し明るさが戻った感じだ。
 雨があがった昨日は美容院でヘアーカットして来たところだが、今日もさわやかな五月晴れになり、ミッチーも無性に外へ出たくなったようで、母上に車椅子に乗せてくれるようおねだりして、見事に外へ飛び出せた。
 気持ちの良い風にふかれながらお散歩するミッチーに道ばたのお花達も声をかけてくれる感じ。市営グランドを通りかかったら、ゲートボールしているおばさん達がいたので、しばらくそれを見学。誰も通っていない道を悠々と走ったり、ここを行けばどこに出るのかなと、知らない道を探検したり、ヘルパーさんつきではやりにくいことを楽しんで来たようだ。
 帰って来たミッチーの顔は、まるで腰痛も忘れているかのように晴れやかだった。
 なるほど、おてんばオバサンのミッチーはこんなことで元気になるんだね。

         5月29日
 ミッチーの母校の小学校へは今6年生の姪っ子ちゃんが一人行っている。
 毎年この時期は修学旅行の季節だが、今年は学校の都合でその旅行と運動会を入れ替え、この時期に大運動会をすることになったそうだ。本当は昨日の日曜日にする筈だったが、前日の雨で運動場のコンディションが悪く今日に順延された。
 その今日はミッチーのヘルパーさんが来てくれるので、車椅子に乗せてもらえるからというので、昨夜突然
「そうだロン君、私明日運動会を見に行って来るわ」と言い出す。
「おぉミッチー、そりゃあいいね。絶好のチャンスだぜ」
「そうなのよ。学校の運動会なんてもう何十年ぶりだろうなぁ。若い友達の子もいるから、きっと何人かの友達にも会えると思うし…」
「そりゃあますます行かなくっちゃ!」
 てな具合で今日は午後から母校の運動会へ何十年ぶりかでお出かけのミッチーだ。
 思い出いっぱいの母校はいつ行ってもミッチーにとっては懐かしい場所。そこで予想通りお友達のIさんやFさん、MちゃんやKちゃんなどと再会。おしゃべりしながら姪っ子ちゃん達のリレーやだるま落としなど見て来たようだ。
 帰ってから
「おみやげ見せてあげる」と言い。持って行ったデジカメの写真をパソコンへ取り込んで見せてくれたが、思わず
「なんだこれ?」
「だって、競技が写せるような場所へ入り込めなかったんだもん」
「それにしてもねぇ」
「いいのいいの。皆さんにはこれでも見てもらおうかな」と言って、“デジカメ撮影記”に載せたのは、我が子の活躍振りをカメラで追いかけている友達のFさんの後ろ姿だった。 


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      6月8日
昨夜ミッチーが見ていたNHKテレビで、膝痛に効果的な体操というのが紹介されていて、ボクも何気なく見てしまった。
 どんな体操かというと、意外に簡単な動作で、次のようなもの。
仰向けに寝て、片方の足を曲げ、膝を立てる。もう一方の足を膝をまっすぐに伸ばしたまま、かかとを10センチほどあげておろす。(あまり高くあげすぎないように注意)。このあげおろしを左右の足20回ずつ朝晩つづけると膝痛がなくなるそうだ。
 膝痛の多くは軟骨の周りの酸素欠乏が原因で起こるそうだが、この運動によってそこへ酸素が供給されるのでいいということらしい。叉膝を伸ばしたままの動作なので、膝を痛めていても苦痛を感じることなくできるから、お勧めの体操のようだ。
 「私の周りにも膝痛で苦しんでいる人がたくさんいるから、教えてあげようかなぁ」
「そりゃいいね。痛い所があるというのはつらいものだから、こんなことで治るならと飛びつくと思うよ」
「そうよねぇ」
「それにさ、これならミッチーにもできるから、人に教えるだけじゃなく、自分でもやってみろよ」
「うん、そうね。膝痛の予防にもなると言ってたし、腰痛にもいいかもね」
「そうだよ。いいと言われることで自分でもできることはやらなくっちゃ。早速今夜から始めろよ。さぼったらお仕置きだぞ」
「おぉ、き〜びし〜い!」

     6月14日
  昨日はミッチーのウエディングドレス記念日で、パソコンに残してある一年前の写真をながめて過ごしていたが、今日は彼とデートした海岸へ思い出に浸りに行っていたようだ。
 ちょうど事情をよく知る友達が一緒だったので、彼の近況など想像し合って、しばらく海を眺めてきたようだ。今日の海は暗くよどんでいて、カメラを向ける気にもなれず、スロープ堤防の下でしばらくしゃべってから、近くの喫茶店でティータイムして帰って来たようだ。
 これから暑くなって来るとアイスクリームもおいしくなるし、そういうことを話せる唯一の友達である今日の同行者に、叉あまーいアイスもなかの思い出話など聞いてもらいなよ。

         6月20日
  押し入れの中の衣装ケースや、タンスの中のもの引っ張り出し、昨日はミッチーも遅ればせながら、夏服と冬服の入れ替えをやっていた。
 服なんか自分ではめったに買わないミッチーだが、プレゼントされたり、人のお古をもらったりするので年々増える一方。入れ替えの度に
「着ないようなものはいい加減処分してしまえよ」と言うんだが、
「破れてもいないから、ただ捨ててしまうのもねぇ」などと言って、結局みんなしまいこんでしまう。
 「いくら暑い夏でも膝上10センチ以上のものなんかもうはくような年頃じゃないわね」と言い、叉押し入れの奥に突っ込んでしまった。どうやら自分のことは自覚しているようだが…。

       6月29日
ウインブルドンテニスが始まり、テレビ放送もされているが、ミッチーの所のテレビは画像が乱れて見られない日が続いていた。
「多分アンテナのコードが抜かれているんだと思うんだけどね」
「なんでそんなもの抜くんだ?}
「今母上が展示会に出すパッチワーク作品を作っているでしょ。夜はよく茶の間でやってるから、電気スタンドやアイロン使うのに、差し込みが足りなくて、それがアンテナのコードだとは気づかず不要のものだと思って抜いてしまったんじゃないかと思うんだ」
「それならさしてもらえばいいだろ」
「そうね、今からあそこの様子見て来るわ」と言い、茶の間の方へ行った。
しばらく母上とああだこうだとやり合っていたが、戻って来たら、表情もすっきりで、
「やっぱり思った通りだったわ」
「ミッチーの推理はいい線行ってるね」
「あの人のやりそうなことだもん」
「そうか、ミッチーは母上研究者って訳だ」
「まぁね」
これで今夜からテレビが見られて、まずはめでたし。



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       7月2日
ミッチールームにはエアコンがついていて、冬の暖房はほとんどこれだけに頼っているが、夏は普段開けっ放しの窓をエアコンかける時は締めなければならないので、ちょっと高い窓の開け閉めが難しいミッチーは、一人の時は扇風機も使っている。
 昨年まで使っていた扇風機が壊れて処分してしまったので、今年の夏はエアコンだけで過ごそうかとも思っていたが、やっぱり不便なので、新しい扇風機を買うことにした。
 今まで卓上型を使っていたのだが、扇風機を落ち着ける専用スペースがないので、冷蔵庫を開けたり、部屋を出入りしたりする度にあっちに寄せこっちに寄せしなければならない。
 そこで今度は思い切って壁掛け式のリモコンつきの扇風機を買うことにした
 ホームセンターで見て来たら、値段は2〜3千円だったが、リモコンがついてなかったからあきらめ、近所の電気屋さんで買った。大量仕入れのホームセンターなどより割高になるだろうし、リモコンつきだから2倍位は覚悟していたんだけど、なんと7〜8倍の価格で購入すことになり、ちょっと計算が狂ったようだ。でもまぁ、取り付け工事もしてもらえたし、こんなものかも知れないよ。

           7月8日
 もっかミッチーは、デジカメ撮影のお外スタイルのカメラスタンド第二弾を考案中。
今度はペットボトルの丸みを利用して、上下の角度調節のできるものが作れないだろうかと考えているようだ、
ミッチーの頭の中のイメージを、ヘルパーさん達の手がどう実際の形に作りあげてくれるか、ボクも楽しみながら見て行きたいと思う。

     7月13日
 十二月に“障害者の日”などという日があるが、毎年その頃熊野市では、日頃制作活動をしている施設や作業所、個人などから作品を募り、社協を会場に障害者作品展が開催されている。
 ミッチーも一度見に行ったことがあるが、その時このホームページの中の何編かの詩が、何の話もないまま似顔絵と一緒に紹介されていて、びっくりしたことがあったらしい。
今年のその作品展にミッチーの詩集を出してくれないかという話があった。いつもホームページを見てくれている人が、これらの詩を一冊の詩集にまとめて出展してくれないかと言って来たのだ。
 昔のらくがきばかりだし、すでにホームページに公開しているので、あえてそんなものを出展するのも…と思ったんだけど、せひ出してほしいと言われたので、一応OKしてしまったようだ。
 まずこの中の半分位を選んでプリントし、ヘルパーさん達に手伝ってもらって、製本しようという計画だ。
 「ロン君も手だってね」
「もちろんだよ。毎日ミッチーのお尻叩いて、完成までしっかり見守っているからね」。

     7月27日
 福祉サービスも4月から自己負担を余儀なくされたり、老人福祉のある分野では切り捨てられる面も出て来ているらしい。
さらに叉10月からは、ミッチー達が受けている自立支援サービスが改められるようだ。障害の程度が6段階に分けられ、その階級によって受けられるサービスが決まるらしい。
その障害程度判定の調査を今やっているらしく、昨日市役所の女性職員がミッチーの所に来て、106項目の質問をして行った。
「これは身体障害の方だけじゃなく、知的障害、精神障害、色んな方達に向けた同じ質問なので、どうぞ気を悪くしないで下さいね」と、初めに前置きをされたが、本当にまぁ、バカにされたような質問の多いこと! 障害別に質問内容を分けたらどうなんだと言いたくなるよ。
仕事とは言え、ミッチー達に不愉快な思いをさせて、こんなことを聞いて回らなければならない職員達も大変だろうなぁ。

        7月29日
 あるゲームサイトにアクセスすれば、その同じ時間にアクセスしている者同士がそれぞれのパソコンをはさんでゲームが楽しめるという、チャットの機能を応用したようなものがあって、前からミッチーもそれに興味をもっていた。
 そんなゲームでよく遊んでいるらしいネット仲間のラブカップルの二人が、今日の午後ミッチーをオセロゲームへ誘ってくれたから、ミッチーは大喜びで、他のことなどほっぽり出してそのゲームを始めた。
 初め男性とやってミッチーが勝ち、続いてやった女性の方ともミッチーの優勢で進んでいたが、途中から彼女が彼の敵討ちとばからり猛反撃して来て、最後にはひっくり返され負けてしまった。
「愛の力にはかないませんわ」としみじみミッチー。
でも楽しいひと時だったようだ。

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      8月14日
  父上の弟で、ミッチー達の伯父さんにあたる人が二日前に倒れて意識不明になっていたが、今日はベッドに座るようになったという。
それはよかったと喜びたいところだが、意識障害というか、正常な精神状態じゃなく、暴力をふるうようになったらしい。
強い薬の副作用で一時的なものであったらいいのだけど、あの優しい伯父さんが変な風によみがえってしまったと思うと、複雑な思いのミッチーだ。
父上の他の弟妹は遠方にいるので、両親もその一番近くの伯父さんを何かと頼りにしていたので、母上父上のショックも大きい。

        8月19日
  オフラインの世界では家族やヘルパーさんに接触するだけの今のミッチーの生活だが、実はもう一つ別の世界があるようだ。
 それは眠りの中の夢の世界。
眠りの浅いミッチーは、毎晩その第三の世界で、現実の世界で今までに出会った色々な人達と再会しているらしい。
 昨夜はミッチーが片時も忘れたことのない人と再会したらしく、目覚めてから「夢の中でもあんなに優しい人なのに、どうして…」と枕をぬらしていた。
その背中をぽんぽんと軽く叩いてやりながら、
「ミッチーがそんなに思い続けていたら、あの人も新しい人生を始められないんじゃないのかなぁ? もういい加減解放しておやりよ」

     8月22日
  毎年8月17日に予定されている熊野の花火は、よく台風の襲来とぶつかり延期されることが多いのだが、今年も台風の影響を受け今日になった。
 早朝は雨が降っていたが、昼間は良い天気になっていたから、今度は大丈夫だと思ったのだが、夕方から空が暗くなり、ものすごい雷雨。大雨洪水警報まで発令される始末。おいおい、こんな中で花火するのかよ…と思ったが、しばらくすると警報が注意報に切り替わって、雨の激しさは和らいだ。とは言え、依然として降り続く雨、雨、雨…。その雨音に負けじと花火の爆音も聞こえ始めた。見物客達は傘をさして見ているんだろうなぁ。雨に濡れながら見ている人もいることだろう。まったくお気の毒様だ。

      8月26日
 ミッチーの父上、あの花火の夜に具合が悪くなり、病院へ駆け込んだんだが、腸閉塞と診断されたようだ。
長い腸の一部が詰まって、便が出ない状態だったらしい。本当なら入院を勧められるところだが、あいにく病院のベッドが空いてなくて、点滴治療だけ受け帰された。その後病院から出された薬を服用したり、母上看護婦による水分補給で少しずつ便が出るようになり、少し喜びムードで昨日叉病院で診てもらったんだが、まだ小腸にたまったものがきれいに排泄されていないから、油断できないと言われたらしい。それを聞いた母上は、もしかしたら手術しなければいけないかも知れないとオロオロ気味だ。
「手術して楽になるならしてもらったらいいじゃない」とミッチーは言うのだが、糖尿病の持病のある人なので、出血が止まりにくくなる心配があったり、病院の付き添いとミッチーの介助を自分一人でできないからどうしようかと、そんなことを一人で思い悩んでいるみたいだ。{私の介助なんかなるようになるんだから、心配しなくてもいいよ」とミッチーは言っているんだが、母上としては具体的なものが見えないと安心できないようだ。
 
      8月27日
 毎年この時期に募金活動しながら、色んな人の生き様を紹介してくれる24時間テレビ。
今年のテーマは“絆”ということで、素族や友人達の絆に支えられながら自分の人生をしっかり歩んでいる人達の姿を見せてくれた。
 絆と言えば偶然だが、ミッチーが今作成中の詩集のタイトルも“きずな”にしようと思っているらしい。
詩集の中に登場する人達は今までに色んなきずなで結ばれた人達たから、その大勢の人達の顔を思い浮かべているうちに“きずな”にしようとひらめいたようだ。
 「今年の24時間テレビと同じタイトルになっちゃうけど、こちらはひらがなの“きずな”なんだね」
「そうね、別にこの漢字を知らない訳じゃなくて、ひらがなの方が優しい感じになると思ってね」
「そうだね。ボクはあの漢字がなんで“きずな”なのかわからないんだよね。今日のテレビトークじゃないが、いとへんは分かるけど、どうして右側が“半”なんだ?」
「へぇー、ロン君もいつの間にか“論君”になっちゃったじゃない!」
 
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       9月9日
 今月に入って2〜3日朝晩涼しくなって喜んでいたら、叉蒸し暑さが戻って来て、夜なんかも部屋を閉め切ると寝苦しくなって、エアコンの除湿モードをかけている。
 ミッチーの伯父さんや父上が続けて病気になったりして、気分が滅入っていたら、今度は父上の妹の旦那さんに当たる人が末期ガンで、余命がわずからしいという情報が入って叉々シュンとなりそう。

      9月16日
 ミッチーの母上がよく行くカラオケ喫茶のママさんから、ミッチーのパソコンでメニューの貼り紙を作ってくれないかというご依頼があった。
ああいうもののデザインを考えて作るのが好きなミッチーだから、もちろんすぐに行動開始。
そこはお好み焼きも食べられるので、ミッチー自身もたまにマイカーで出かける。
店の中の雰囲気を思い出しながら、自分の作るメニューの貼り紙がどんな所に貼ってもらえるんだろうと楽しく想像しつつ、ロゴ文字やあり合わせのイラストなど組み合わせ、一晩で完成させた。
のろまなミッチーにしては珍しい早技だ。
それを母上に持って行ってもらったら、とても喜んでもらえたそうだ。
「ちっぽけにことだけど、自分のできることで人様の役に立てることがあるなんて嬉しいね」
「そうだろ。人から受けることの多いミッチーだけど、反対に人のためにできることもあるんだね。これで母上達の受け止め方も少しは変わって来るんじゃないのかな」
「あはははは、あんな紙切れ一枚ではね」  

       9月22日
この夏からミッチーが始めている詩集作りは、表紙のデザインもようやく決まり、とりあえず一部だけ見本として形にしてみようと、おんぼろプリンターのご機嫌をとりながら全ページを印刷してみた。中身の詩が81編と、目次や前書きなどを含めて190ページ弱になりそうだ。
 普通の本は一枚の用紙の両面に印刷されているが、その方法ですると連続印刷ができず、ややっこしくなるので、2倍の大きさの紙を使用して、袋とじ印刷という方法でプリントし、それを二つ折りにして、普通の本の2ページ分をとっている。だから本にすると通常の2倍の厚さになってしまう。つまり印刷用紙190枚分の厚みの本になってしまうという訳だ
 それで今日はミッチー、そんな大量の枚数分を綴じる大きなホッチキスを探し回っていたようだが、どの文房具店もそんな大型の在庫がなくて、注文して取り寄せてもらうことにした。そんな大きなものになるとやはり値段も高額で8000円あまりするそうだ。
「おいミッチー、そんな高いホッチキス買うんだから、これからもどんどん書いて売り出さないと勘定に合わないぞ」
「じゃあ今度はパンダさんとの掲示板漫才集でも出そうかしらね」

         9月28日
 父上様が今年の花火のビデオを買ったみたいで、夕方ミッチールームへ持って来てくれ、遅ればせながらの花火見物となった。
 打ち上げや仕掛け、スターマインや海上自爆など、一時間二十分ほどにまとめられたものだった。
「テレビでよく色んな所の花火を見るけど、噂に聞く熊野の花火に勝るものはないね。父上様がビデオ買って来てくれたお陰で、ボクも見せてもらえて良かったよ」
「ダビングできたら、遠方の友達にも送ってやったら喜ぶかも知れないけど、私ダビングの仕方知らないのよ」
「そんなの誰かに教えてもらえばいいだろ」
「そりゃあまぁそうなんだけど…」
「やる気なしって訳か?」
「今は例のことで頭がいっぱいでね」
「ミッチーの頭は一つのことですぐいっぱいになるんだからなぁ」
「どこかに容量の大きな頭って売ってないかなぁ?」
「あーぁ、もぅやってられないよぉ」




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            10月1日
ミッチー達家族が毎日よく見ている茶の間のテレビが、ご機嫌損ねると消えてしまったり、気が向くと勝手について来たりと、すっかり全自動テレビになって、個性を発揮していたが、とうとうダメになってしまった。
ミッチールームにもテレビはあるし、父上達の寝る部屋にもテレビがあるので、茶の間のテレビが見られなくなっても、どうってことないように思われたのだが、父上は茶の間のテレビが見られないと、布団を敷きっぱなしの部屋に入り、ごろりと寝転がってテレビを見てしまう。
用事のない時はそんなふうにして一日過ごすことが多くなったので、こんなことをしてたら寝たきり老人になってしまうとミッチーは心配し、茶の間に新しいテレビを購入しようと提案したところ、意外にあっさりこの意見が通り、買うことになった。
 これからは薄型ワイド画面のデジタルテレビの時代だ。
全自動テレビが全然ダメになったお陰で、思ったより早くこの家の茶の間にもデジタルテレビが据えられた。
30万円余りする大型なので、まるで映画のスクリーンを見ているような感じ。
ダイニングキッチンからでもはっきりした画像が楽しめる。
 「せっかくこんなテレビ買ったんだから、今度はこのテレビがダメになるまでは、父上にも元気でいてもらわないとね」
「そうだよ、ミッチーも少しは親孝行しろよ」
「はいはい、私にできる親孝行はいっぱい甘えることだからね」
「叉々都合の良いことおっしゃる!」

         
 10月6日
何とか詩集作りの印刷にこぎつけたミッチーだが、おんぼろプリンターの調子が悪く、時々黒字が緑色になってしまったり、文字が二重になってしまったりで、紙を何枚も無駄にしてしまった。
パソコンとスキャナは一度買い換えたが、プリンターだけは最初からのものなので、もう10年近くになる。
そろそろプリンターの買い換えを考えてもいい時期かも知れないというので、先日からプリンターのカタログもらって来て見ていたりしていたが、 やっとミッチールームのスペースに合ったタイプの機種が見つかったようで、今日正式に注文した。
来週中には届けてもらえそうだと楽しみにしているようだ。

        10月9日      
 昨日教会の礼拝から帰って来たミッチーの様子がちょっとおかしかったから、気になっていたのだが、こんなことがあったらしい。
 ミッチーが乗っていた父上運転の車が。教会まで行く途中、あやうく自転車に乗った子供とぶつかりそうになったのだ!。
自転車が倒れ、車に当たったので、接触して倒れたのかと思い、一瞬青ざめたが、ぶつかりそうになった子供が、びっくりして倒れただけで、ケガもしてないらしかったので、ひとまずほっとした。
子供の不注意には違いないが、80近くなった父上も反射神経がにぶって来ているので、より慎重な運転がもとめられそうだ。
 父上の運転に頼るのは控えた方がいいかも知れないと、ミッチーは思い悩んでいる様子。
最近は自分から頼んでどこかへ連れて行ってもらうようなこともほとんどないのだが、教会だけは両親の方が連れて行かなくてはと思っているみたいで、その気持ちについ甘えてしまっているミッチーなのだけど…。

       10月17日
先週届いたプリンターはモデルチェンジしたばかりの最新型。
これ一台でパソコンからの印刷ばかりか、スキャナやコピー機能も備え、デジカメのメモリーカードからの直接印刷などもできるというもの。
さらに給紙位置が二通りあって、上の方からはA4用紙から名詞サイズまで、幅広い用紙に対応できるし、A4とB5の普通紙なら、前面からも挿入できるので、上からの挿入がしにくいミッチーには好都合だ。
もちろん印刷スピードや鮮明さもうんとアップしたから、これからのプリント作業が楽しくなりそう。
 早速、やり易くなった前面からの挿入で、詩集のプリントをしてたいところ、突然ギーッという音がして、ストップしてしまった!
紙はまだ入っているのに、プリンターは紙の挿入を指示するエラーメッセージを出すばかり。
上からの挿入で試したが、こちらからだと問題なくプリントできる。
前面からの道だけ通行止めの感じだ。
紙詰まりしているかも知れないと一応のぞいたが、分からない。
ずっとサポートしてくれている販売店の係の人にSOSメールして来てもらった。
「原因はこれです」と機械から出して来たのはくしゃくしゃになった紙。
やっぱり紙が詰まっていたのだ。
「一応のぞいてみたんですけとねぇ」と言い訳するミッチーに、こうならない為の注意事項を教えてくれていた。
「しっかりしろよな!」

      10月20日
 10月20日はミッチーの母上様のお誕生日。
お誕生日といえば、テレビでは皇后美智子様の72才のお誕生日を伝えていたっけ。
そう、光栄というか何というか、母上様の誕生日は皇后美智子様のお誕生日と同じなのだ。
ミッチーは予定通り午後からバースディーショッピングに行けたから、ほしいと言っていた黒い下着を買って来てプレゼントし、喜ばれていた。
ついでに夕食後のデザートにコーヒーゼリーを買って来たので、この家の皇后様の?才のお誕生日にゼリーで乾杯!

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         11月14日
 段々と風がつめたくなり、春から秋にかけてミッチーをおびやかした蚊が姿を消してやれやれと思ったら、叉新しい敵が現れたようだ。それも蚊よりも小さな強敵だ。ダニなのかノミなのか、正体不明のものなのだが、知らぬ間に体のあちこちを刺され、かゆくてたまらぬ様子。蚊なら姿が見えるから、母上達がそばにいたらやっつけてももらえるが、今度の敵は仲々姿が見えないから厄介だ。それに刺された後のかゆみも、蚊ならしばらくすれば治まってくれるが、今の正体不明の奴に刺されると。後を引くかゆみが何日も続く。夜も眠れない時があったりして、いらだちをボクに向けて来るからかなわない。
「同じ家の中にいても父上達は何ともないのに、どうして私だけやられちゃうのよ」
「モノ好きな虫たちもいるもんだな。ボクだったらもっと可愛い人に吸いつくけどね」
「食わず嫌いってこともあるわよ。ロン君なんかも一度味わったら病みつきになるかも知れなくってよ」
「おいおい、ボクは熊だぜ。そんなこと言っていいのかよ」
「いいわよ。ロン君に食べられるなら本望よ」
「とんでもない! 結構、けっこう、コケコッコー」


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    12月1日
  夕方ミッチールームに男性が二人…。
誰だろうと思ったら、社協の職員だってさ。
あさってはいよいよ障害者祭り。
その作品展で展示即売するミッチーの詩集を取りに来てくれたのだ。
ここ3ヶ月ほどの間、ヘルパーさんとの時間、色々なことを我慢しつつ詩集作りに取り組んで来たが、大勢のヘルパーさん達の手を借り、45冊を製本して、作品展に送り出した。
見映えは決していいとは言えず、全然売れないことも予想できるが、ミッチーが自分で渡したい人には後で叉作ろうと思っているようなので、残ったらその分を作る手間がはぶけるから、残るのも叉感謝だとか…。

        12月2日
 この夏脳梗塞で倒れた伯父さんは、命をとりとめ、歩けるまでになったそうだが、痴呆の症状が出て、夜寝ないで外へ飛び出して行ったりと、一緒にいる伯母さんはそのお付き合いに大変なようだ。
 そんな様子を聞き、父上も段々衰えを見せて来ている今日この頃なので、とても人事とは思えないらしい母上、何かにつけ父上に「あんなにならんようにしてよ。私ら何にもようしたらんで」などと言うようになった。
母上の気持ちも痛いほど分かるミッチーだが、父上に対しては、あまりそんなことを言わないでほしいようだ。今から“見捨て宣言”しているようで、母上が冷たい人間に思われて来て、やりきれなくなるようだ。
 そんなことに心を痛めているせいだろうか、今朝方悲しい夢をみたようだ。
父上の頭が突然壊れ、床に何度も頭をぶつけたり、自分で自分の体をなぐりつけるという、自傷行為におちいった夢だったらしい。
それもミッチーと父上の二人っきりの時に…。
 もちろん現実の父上はいつもと変わらず、おだやかな表情でテレビを見ているが…。 

      12月8日
 先日の障がい者まつりの作品展に出したミッチーの詩集は、ちょうどミッチーが望んでいた部数が出て行ったようだ。 
残った中の一冊を父上も読んでくれたようで、「あんな言葉は自然に浮かんで来るんか?}なんて首をかしげていた。
パソコンなどいじったことのない父上はホームページ上のミッチーのらくがきを読んだことがなく、本当のミッチー語を今まで知らなかったという訳だ。
ヘルパーさん達にお骨折りいただいて作られた詩集“きずな”は作者の密かな思い以上のものを生み出して行くかも知れない。

          12月12日
ケーキの箱を持って戻って来たミッチーが
「ロン君にもおもしろいモノ見せてあげるわ」と言うので、何だろうと思ったら、たこ焼きの形の物体。
ボクが手を出そうとすると、
「はい、ロン君はもうこれで終わり」と言って、さっさと冷蔵庫の中へ入れてしまった。
たこ焼きの形のケーキだったようだ、
その夜は写真を撮ったり、ちょうど来合わせたお客様にご馳走していた。
それにしても、ボクには見せてくれだだけだなんて、ミッチーも罪なことをするなぁ。

         12月17日
 ミッチーは最近あるご年配の友達のお薦めで市立図書館から借りて来てもらった分厚い本を読んでいる。
橋田壽賀子作の小説「おしん」だ。
 これは確か十年余り前になると思うが、NHKの連続ドラマにもなった有名な小説らしい。
ミッチーもそのドラマの初めの方は所々見ていたそうだが、改めて今その原作本に出会って夢中になっているという訳だ。
読みながら涙ポロポロ流しているので、ちょっとびっくりして
「どうしたんだよ?」と聞くと、
「可哀想なんだもん、この場面…。とても涙なくしては読めないわ」
「純情な乙女みたいなこと言うなよ」
「純情なおばちゃんのつもりなんだけど…」
「そんなのあるのか?}
{いるわよ、ここに…」
そう言いながら、一旦涙と鼻水拭いて、叉小説の世界へ入りこんで行く。
 そこは究極の貧困の世界のようだ。
そこから一人の女性がどう生き抜いて行くのか…。
 恵まれた世界に生まれながら、周りがどうのこうのと文句ばかり言っているミッチー達に、遠い昔のおしんが何を教えてくれるのだろう?
これを読み終えた後のミッチーに期待したいボクだ。

      12月27日
 今年も後四日を残すだけとなった。
ミッチーも自分の年賀状五十枚余りを仕上げ、一昨日ポストへ入れて来て、ほっと一息しているかと思ったら、今度は父上達の分のデザインを考えているようだ。
「同じパターンで名前だけ入れ替えたらいいじゃないか」と言うんだが、
「こんな幼稚なものは父上達のお気に召す筈ないでしょ」なんて言って、ああでもないこうでもないと一人ぶつぶつつぶやきから、葉書とにらめっこしたり、イラストやロゴ文字などを探している。
まぉ気の済むようにしておやりよ。
 ところでこのボク、ミッチールームへ時々飛び込んで来る姪っ子ちゃんに気に入られちゃって、あっちへ行ったりこっちへ来たりと忙しいので、来年からここのコーナーは新入りとバトンタッチすることにした。
どんな奴が登場して来るか、乞うご期待!
叉ボクも時々掲示板の方へ男前の顔を出させてもらうので、引き続きよろしくね。










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