1月3日
 「ロン君、お待ちどおさま。ロン君の今年のページができたわよ」
「もうどうなることかと随分気をもんだけど、よかったぁ。どれどれ…」 
「はい、これがロン君の今年のページよ」
「おぉ、キティーちゃんとツーショットの写真を入れてくれたんだね。 ん? これは何だ? 上のタイトル文字が変なふうに動いてる」
「えへへ、これはちょっと魔法をかけちゃったの」
「わぁー、それにこの背景にはボクの友達がいっぱいだ!」
「これはね、もしキティーちゃんに逃げられたとしても、寂しくないようにと思ってね」
「ラブラブのボク達だから、そんな心配はご無用だけど、賑やかなのはいいね」
「ロン君のことを思って作ったんだから、今年一年大切に使ってね。変なこと書いちゃダメよ」
「はーい」
 (では改めて、えっへん)
遅ればせながら、皆様、あけまておめでとうごいます。
今年もこの“ロン日記”によろしくアクセスのほどお願い申し上げます。


     1月5日
 今日ミッチーの所に来てくれたヘルパーさんは、フレッシュママさんのSちゃんだ。入って来るなり「まぁ聞いてよ」と話の洪水が押し寄せて来た。年末からお正月、ずっと仕事を休んで一人でばたばたと家の中で動き回っていたのに、誰にも感謝されるどころか、なせだかご機嫌斜めの旦那様に怒られっぱなしだったとかで、そんなたまりにたまった愚痴話をミッチーの前で一時間近くもして、ようやく気がすんだみたいだ。そんなことミッチーに話したって何にもなりゃしないのに…と思うんだが、なぜかミッチーは愚痴の吐き捨て所となることが多い。
 その後何とか入浴にこぎつけ、お風呂からあがったところへ、Sちゃんとミッチーの共通のお友達のTちゃんが遊びに来てくれたから、又々話に花が咲く。今度はTちゃんの仕事場でのすったもんだ話を聞かせてもらい、その後カメラを持って三人で外へ出て行った。ミッチーには新しい年のお散歩初めだ。今日はお天気も良く、暖かかったし、きっといい写真が撮れただろう。


       
 1月14i日
 毎週水曜日にミッチーのわがままにつき合ってくれるヘルパーさんは体格のいいMちゃん。彼女はママさんバレーの選手だそうだ。それを知ったミッチーは、チャンスがあれば自分のボール遊びの相手をしてもらおうとたくらみ、ゴム性のソフトボールなど買って押し入れにしまってある。
 今日は風が冷たく、特に行きたい所もなかったから、入浴介助や電動車椅子のバッテリー液の補充など、やるべきことをしてもらってから、部屋の中で念願のボール遊びを始めた。某訓練センター時代にも“スポーツ訓練”という名目でこのようなことを喜んでやっていたらしいが、それ以来何年振りかでポーンポーンとボールを弾ませる感触は心地よかったようだ、足蹴りばかりか、ヘッディングや顔面パスなどバラエティーに富んだミッチープレーの数々に、お相手をしてくれたMちゃんも大爆笑。エアコンかけててもじっとしていると足下が冷たくなって来る中、うっすら汗をかき、ほっぺはバラ色。良いお遊びタイムとなったようだ。
 ただ今度やる時はボクを安全地帯まで非難させてほしいなぁ。あれ以上崩しようがないミッチーと違って、男前のボクの顔にボールなんかぶつけられたらたまらんよ!


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         2月1日
 このところメールであちらこちらと連絡取り合うのに大わらわのミッチー。いったい何事をやらかそうとしているのか知らないが、電話の苦手なミッチーが、メールだけで連絡係なんかやってんだから、あぶなっかしいったらありゃしない。皆さんに迷惑かけることなく、ちゃんとやりとげられるんだろうか?
 それにしても以前は受け身の体勢一本だったミッチーに、こういうことまで可能にさせるパソコンという機械には、只々感心するばかり。



            2月6日
 先日、いつも掲示板に遊びに来てくれているパンダさんが、このミッチールームへも寄ってくれた。
 その日はなんとミッチーを背負って、あの有名な熊野古道の松本峠の頂上まで登ってくれたのだというから、世の中にはおかしなことに力を注ぐ人もいるものだ。
 周りの人達から松本峠の話だけはよく聞かされ、どんな所だろうと関心をもっていたミッチーと、登山が趣味でよく家族で松本峠へ登っているパンダさんがネット上で出会い、交流しているうちにそんな夢が育って行って、ついに実現! この二人を出会わせたネットの力もすごいと思う。
 パンダさんの地元で子ども達のために共に活動している二人のご婦人や、ミッチーが交流をもっている高校生ボランティア達も 二人の夢の応援に加わってくれた。
 「パンダさんったら冗談で、私をあそこへ捨てて来るつもりだったって言ってるんだけどね、もし本当に捨てて来られたら、あそこで熊野市民の守り神になりたいわ」なんてバカげたことを言っている。守り神どころか、ミッチー捨てに行ったと聞いたら、次々捨てに行く人が出て来て、せっかくの松本峠もオバ捨て山になっちゃうよ!!


        
2月24日
  今年のミッチーの誕生日は朝から雨模様だったんだけど、あちらこちらから色々な贈り物やメッセージが届けられ、ご機嫌うるわしげなミッチー。どうしてこんな役立たずのミッチーなんかにいつもこんなにたくさんの人の心が寄せられるんだう?
 その前の日も勝浦で食事会だと言って友達に迎えに来てもらって出かけちゃたから、てっきり誕生日の前夜祭かと思い、ミッチーの喜びそうなことをやってくれる人もいるんだなと感心していたんだけど、とんだ見当外れだったみたいだ。
 施設に入所している友人がパソコンを購入したそうだが、それを施設内の彼の部屋に入れるに当たっての施設側の条件というのが、パソコン操作に関する介助を職員は一切しないということだったらしい。 両手両足とも自由の利かない彼は、口で息を吹きかける特別な補助装置でパソコン操作をする為、パソコンのスイッチを入れたり、補助装置のセッティングにどうしても人の手を借りなければならない。 そこで彼の周りの友人達が交替で週に一度その施設の彼の部屋まで行って、パソコン操作のお手伝いをしているらしい。 
 その日はパソコンボランティア達が彼を囲んで食事会をしようという企画に、どういう訳か何の手伝いもしないミッチーにもお誘いがかかったらしい。ちょうど自分の誕生日の前日でもあったし、前夜祭のような気分でいそいそと参加したという厚かましいことこの上ないミッチーだ。



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          3月9日
 
今日はミッチーの甥っ子ちゃん(弟夫婦の長男)Y君の中学の卒業式。幼稚園の入園式では一人だけ大泣きして、お父さん達に大恥をかかせたというY君だが、今日の中学の卒業式では、卒業生を代表して答辞を述べたらしい。
 小さい時から喜怒哀楽の激しい個性的な子で、2歳下の弟には妙にライバル意識を燃やしたりして、おばあちゃん達をはらはらさせたりもした。
 少し前まで自衛隊員になる夢を抱いていたようだが、果たしてY君の前にはどんな道が広がっているのだろう?
 お父さんの夢を背負わされ、小学校低学年から始めた空手で思いがけず推薦されることになり、4月からは高専へ行くことになっているらしい。 他の同級生達の多くは別の高校へ進むので、人気者のY君が離れてしまうのを寂しがっているようだ。
 明るい未来の展望とともに、一歩間違えば転落の道に迷いこむ危険性もある年代だから、油断することなく見守って行かなくてはと思いを新たにするミッチー伯母さんだ。


       3月10日
 毎週水曜日に来てくれているヘルパーさんは、見かけによらず手先も器用で仲々のアイデアウーマン。
先週からタマゴの殻や折り紙など持ち込んで、ミッチーのパソコンと共同制作で何かを作っているらしかったが、今日それが見事完成。何ができたのかというと、お内裏様とお雛様の人形なのだが、その顔を見て思わず大笑いしてしまった。お内裏様は制作者のヘルパーさんのお顔。そしてお雛様の方は、な・なんと、ミッチーの顔がついているではないか!! 最初顔も平凡にサインペンで描こうと思ったらしいが、たまたま同じ帽子をかぶって写した二人の写真がミッチーのパソコンに入っていたので、その写真の顔をお雛様達に…と思いつき、お雛様達の体の大きさに合わせてその写真を縮小し、印刷して、顔の部分だけ切り取り、タマゴの殻の体に貼り付けたという訳だ。
 「いつだったか、雛壇に自分達も座りたいね…なんて話題で盛り上がったことがあったけど、とうとう実現させちゃったわ」と、ご満足のミッチー。
「どうせならもっと早く作れよ。雛祭りなんかとっくに終わっちゃってるじゃないか}
「お雛様は早く出して、早くしまえって言うわよね。どうしてか知ってる?」
「その持ち主の女の子がお嫁に行き遅れないようにっていうことだろう」
「そうね。でもお内裏様のMちゃんはもう売れてるし、お雛様の私はこのあまりの美貌ゆえに殿方から敬遠され、遠ざかって行くばかりだし、もうとっくにあきらめちゃってるから、いつ飾ってもいいのよ」
「ふーん、なーるほど」


     3月23日
 昨日は一日春の嵐が吹き荒れた。ボクが怖がるキティー嬢を抱きしめていたら、ミッチーの奴、姑根性丸出しのイヤミを連発。他の人達には物わかりのいいことばかり言っているくせに、その実体はものすごくヤキモチ妬きの意地悪ばあさんなんですぞ、皆さん!
 今日は良い天気になったせいか、ミッチーのご機嫌も上々。朝から鼻歌唄いながら部屋の掃除なんかやっていた。今から縁側に出て日向ぼっこだってさ。意地悪ばあさんにはお似合いのパターンだね。
 ミッチーがこの部屋にいない時はボクが王様だから、遠慮なく何でもやれるんだ。さて今からキティー嬢と、むふふふふ…。あぁ春はいいなぁ


       3月30日
 一昨日から昨日にかけて、よくこのらくがき帳のトップに可愛い絵を提供してくれているあーちゃん画伯がミッチー邸へ泊まりがけで来てくれていた。あーちゃんは掲示板へも色々な楽しいおみやげ話を持って遊びに来てくれているミッチーの姪ッ子ちゃんの一人だ。あーちゃんの妹のYちゃんはこの春休み、お友達の所へ泊まりがけで遊びに行くことが多いので、あーちゃんもミッチーの所へ遊びに来てくれたという訳だ。
 彼女達の小さい頃は食いしん坊のミッチールームに置かれてあるお菓子やジュースなどしっけいすることが多かったけど、いつの間にかおみやげまで持って来てくれるお年頃になった。そればがりか飲食の介助までしてくれるようになり、そんな彼女にある期待をこめてすっかり甘えてしまったミッチーだ。
 こんな時のためにとミッチーが用意したゲームで遊んだり、トランプをしたり、昨日の午後はあーちゃんのいとこのFちゃんも遊びに来てくれ、ちょうどミッチーの所にはヘルパーさんが来てくれて、車椅子に乗っけてもらえたから、あーちゃんやFちゃん誘って 近くの公園などへ出かけた。まだ桜は所々しか咲いていなかったが、春の陽射しが優しくふりそそぐ絶好のお散歩日和だった。
 この春休みの時期、多くの子ども達は泊まりがけでどこかへ遊びに行くことを求めているようだ。ボクもたまにはケンカ相手のミッチーから解放されて、どこかへお泊まりしたいよ〜。優しいあーちゃんが誘いに来てくれないかなぁ。


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         4月11日
 パソコンでの遊び過ぎと、老化現象のダブルパンチで、自分の暗い部屋で本を読むことが困難になったミッチー、最近はすっかり読書離れの傾向で、新しい知識を取り入れる努力もしない。これじゃあどんどん人から置いてきぼり食わされ、ボケるのも早くなるんじゃないかと心配している次第だ。
 そんな時グッドタイミングで読書好きな人とお知り合いになり、先日その人から一冊のポケット本を貸してもらった。自分の部屋で読むのは疲れるからと、お天気の良い日の午後は明るい縁側の方へ出て行ってしばらくの間読書タイムを楽しむようになった。昨日から読み始めたのは“またたび回覧板”という短編のエッセイ集のようだが、それが以外に面白いらしくて、読みながらクスクス笑っている声が聞こえて来る。あまり楽しそうなので、ちょっぴり離れているボクももらい笑いしそうな程だ。本を読みながら一人であんなに楽しそうに笑えるなんて、まことにもっておめでたい奴…。知らない人から見たら狂ってるとしか思われないかも知れないが…。

       4月14日
 この前ミッチーのヘルパーさんの一人が、デジカメ持って来て、ボクの顔をドアップで撮って行ったから、お見合い写真にでもするのかなぁ?  縁談話など持ち込まれたら、何と言って断ろうかと思い悩んでいたんだが、どうやらそれは取り越し苦労だったようだ。
 男前のボクの写真はミッチーのパソコンに取り込まれ、プリントされた。そして今日は顔の形に切り抜かれ、ミッチーが折り紙で折ったかぶとをその頭にのっけて、お菓子の空き箱で作った台の上に置かれた。そしてその両脇に折り紙とストローで作ったカラフルな鯉のぼりが立てられたのだ。こうして5月の端午の節句用の置物が完成!
 「仲々いい出来映えでしょ、ロン君。これあなたの為に作ったんだからね」
「うん、感激たよ。ミッチーもたまには気のきいたことするじゃん」
「もう少ししたら、これトップページにUPして、皆さんに見ていただくからね」
「そしたら又々ボクのファンが殺到するだろうなぁ」
「サインの練習でもしときなさいよ」
「わかった」


       4月15日
 朝、部屋に掃除機かけて、陽がさしている窓の外をまぶしそうにながめながら、
「気持ちのいいお天気だよ、ロン君」と、話しかけて来たミッチー。
「ミッチーのご機嫌も良さそうだね」
「そりゃそうよ、今日はロン君のお誕生日だもんね」
「へぇー、おぼえててくれたのか!」
「良い子の誕生日を忘れる訳ないでしょ。おめでとう、ロン君」
「ありがとう。あのさー、バースディープレゼントとかいうものはやっぱりないんだろうね?」
「あら、昨日かぶとと鯉のぼりの置物プレゼントしたじゃない」
「それとこれとは別だろう」
「しょうがないわねぇ、ほんじゃ特別サービスにとっておきの歌声でも聞かせてあげましょうか」
「や・やめてくれ〜。誕生日にミッチーの歌声なんて…、これからのボクの一年間が台無しになっちまうよぉ。分かった分かった、鯉のぼりでもながめながら、静かに誕生日の一日を過ごすよ」





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       5月1日
 昨日外から帰ってから妙に動きがにぶくなり、今日も朝からよっこらしょムードのミッチー。
 毎年ゴールデンウィークの期間中、近くの海岸に何百匹もの鯉のぼりがあげられ、帰省客や観光客の人気を集められている。その鯉のぼりがあげられている場所から、向かって右側の方の堤防の一ヵ所が螺旋状のスロープになっていて、車椅子で浜へおりられるようになっているのだが、そこからだと熊野名物の一つである獅子岩が邪魔になって、残念ながら鯉のぼりは見えない。それで今まで堤防沿いの見える所まで車椅子で行って、堤防ごしにながめていたミッチーだ。
 ところが一週間ほど前、螺旋状のスロープの所から堤防を降りて行き、久し振りに浜を少し歩かせてもらったことから、ふとミッチーの頭に、「こんなふうにここに車椅子を置いて、歩いてあの獅子岩の向こう側まで行けたら、鯉のぼりに近づけるぞ」という考えが浮かんだ。その考えをお散歩につき合ってくれる相棒に話したら、
「少し遠いけど、行ってみようか」と言ってくれたので、その気になってくれる人がいた時にやらなくちゃあ…とばかりに、昨日それを実行してしまったのだ、
 足が砂に埋もれてしまう浜歩きはかなりしんどく、行きは何とか行けたが、帰りは少し歩くと全然足が動かなくなり、何度もギブアップして休み々々しながら、どうにかこうにか車椅子の所までたどり着き、無事帰って来ることができたようだ。
 「腰を痛めてからあまり歩かなくなったというのに、急にそんな激しいこと無茶だよ。そんなことがしたかったら、普段から外もある程度歩き慣れておかないとね。急にそんな浜歩きなどして足腰痛め、又動けなくなっても知らないからね。ミッチーもそういうお年頃なんだから…」
「わかったわよ、もう…。よっこらしょっと!」


       5月4日
  朝ミッチールームに、生後4日目の赤ちゃんが抱っこされて連れて来られた。ミッチーの弟の奥さんが、このゴールデンウィークの谷間の4月30日に4人目の子供を出産して今日退院。早速ミッチーにご対面させてくれたという訳だ。ミッチーにとっては妹弟の6人目の子供で、女の子だから、4人目の姪っ子ちゃんだ。
 知り合いの誰とも同じ名前にしたくないという、妙なこだわりのお父さんが散々考えたあげくつけたのが、頭文字が“P”になる珍名。耳で呼び名だけ聞くと、外人さんのような名前がつけられた。
 一番上のお兄ちゃんとは15才のひらきがあるし、すぐ上のお姉ちゃんとも9才違い。この年齢差がPちゃんの成長過程にどんな影響をあたえるかと、ミッチーおばさんにはそれがちょっと気になるところのようだ。そう、ミッチーも4人姉弟の長女で、17才年下の一番下の弟をいじめで亡くしているからだ。他の兄弟姉妹と年齢が離れていると、みんなから大事にされるが、まともに兄弟ゲンカする相手がいないということになり、日常的な精神訓練の機会が少なくなる。育つ時代が違うから、家族の誰にも分かってもらえない悩みを抱え込んで孤立してしまう危険性もあるというのだ。
「何も今からそんな心配しなくったって。一人っ子もたくさんいるじゃないか」
「それもそうだけどね」
「しっかりしたお父さんお母さんや、お兄ちゃんお姉ちゃん達がついてんだから、大丈夫だよ。ミッチーは自分のことを考えてればいいんだ」
「そうね、自分のことだけでもアップアップしてるんだから、Pちゃんの心配してもはじまらないわね。やーめたっと!」


      5月11日
 「おい、ミッチー、昨日はあの雨の中どこへ行って来たんだよぉ?」
「えっ? 何のこと? 今日はとってもいいお天気よ」
「又々とぼけちゃって…。あやしげな雲行きの中出て行ったから、いいのかなと思ってたら、案の定ザァーっと降って来て、すぐ引き返して来るだろうと思っていたのに、戻って来たのは可愛いヘルパーさんだけで、押し入れの中探し回り、カッパ持って又すぐに出て行き、一時間近く帰って来なかったじゃないか」
「えへへ、ばれてたのね。雨がやんだから、お小遣い出しに農協まで行こうと出かけたら、あの雨…。けど予報では段々回復すると言ってたから、そんなに長く降ることもなかろうと、Sちゃんにカッパ持って来てもらって、そのまま強行突破しちゃったって訳。慎重派のヘルパーさんなら、そうもいかなかっただろうけどね」
「そりゃあミッチーの予想通り10分位でやんじゃったからよかったけどさ」
「そうよ、通り雨なんか怖がってたら、ヘルパーさんはお天気に合わせて来てくれる訳でもないから、梅雨時なんかどこにも出られず、ロン君とケンカばかりしてなきゃならないじゃない」
「やれやれ、ミッチーとコンビを組まされるヘルパーさんは大変だね」
「ふふふふ、それと車椅子もね!」





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        6月12日
 ご無沙汰している間に梅雨空に突入。今日も青空は見えないものの、何とか雨は降らずに済みそう。たまった洗濯物と格闘している主婦も多いだろうなぁ。梅雨も時々はお休みしてもらわないと、降りどうしに降っていたら、着る物はなくなってしまうし、みんな素っ裸でどこかへ流されちまうよ。
 もっとも今のミッチーには雨に流されてでも行きたい所があって、そのミッチーの流されて来るのを待ち受け、網ですくい、迎え入れてくれようとしている人がいるらしいんだが…。もうこの歳になったミッチーなんか捕まえたっておいしくもないし、ペットにするような可愛らしさもないのに、まったく物好きな人もいたものだ。







                    
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       7月10日
 ミッチーの奴近頃あれやこれやと欲張っていて、ボクのことなど完全に無視しているから、頭に来る。ミッチーの椅子の肘掛けにくくりつけられているボク達だが、その紐がゆるんでとっても不安定な状態になっていたので、体勢を直してくれといくら頼んでも知らんぷり。このまま紐がゆるみ続けて動けるようになったら、逃げ出してやろうと思っていたくらいだ。
 そんなところへ現れたのが優しそうでボク好みのNORIちゃん。ボクのこの憂いを含んだまなざしに引きつけられたのか、ゆるんだ紐を一度ほどいて、ボクの胸にしっかりとキティーちゃんを抱かせてくれ、体勢もバッチリ整えて縛り直してくれた。心優しいNORIちゃんにカンパーイ!

     
        7月29日
  学校が夏休みに入ってから、ヘルパーさんに同行訪問という形で、二人の女子高生が実習に来ていた。
 予定していたことをやってもらった後のゆとりタイム、何か為になる話でも聞かせてやればいいのに、ゲームの相手なんかやってもらっているんだから、実習生担当としてはどうもねぇ。そんなことをやらせるのは恐らくミッチーだけだろうなぁ。
 高専に入ったばかりの甥っ子が、学校やめて働き口を探すんだなんて言い出して、みんな悩んでいるというのに、まったくもうミッチーはのんきな奴だ。

      7月30日
 あまり猛暑が続くので、この辺でひと雨ほしいと思っていたら、今日は台風の風雨が吹き荒れている。
 ミッチーの部屋のちょうど真上の屋根の瓦が吹き飛んだかしてしまったようで、夕方のんきにえびせんなんか食べてたミッチーの頭の上から、ポツリポツリと雨の粒が落ちて来たからビックリ仰天! あわてて洗面器なんか持ち込んで畳の上に置き、天井から落ちて来る雨粒を受ける。
 今夜はミッチーは他の部屋へ非難して寝るそうだ。
 あぁ、だれもかえりみてくれないボク達の運命はいかに…? 





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        8月27日
 今年の夏は猛暑と台風の水害などで、あちこちに大きな被害を与えているが、今叉大型でものすごい勢力の台風が日本列島に近づいているようだ。この辺では少し前から波が高くなっていたが、今日は午後から風もうなり始めた。大型のうえに速度が遅い台風のようで、影響が出始めてから抜け出すまでに何日もかかりそうで、この辺では明日あさってがヤマで、来週半ば頃までくずつきそうだ、
 今日から家族旅行を予定していたSちゃん一家もこの台風を前にしては太刀打ちできず、恐らくキャンセルしただろう。この週末の予定が何もないミッチーは至ってのん気で、なるようになれっていうムードだけど…。
 ミッチーがこの夏のビッグイベントだと騒いでいた何事かもいつの間にか終わたようだし、開催地との時差の関係で真夜中のTV観戦が多かったアテネオリンピックももうすぐ終わりだ。
 こののろまな台風が通り過ぎた後、ミッチーの好きな秋の訪れも感じられるようになるだろう。16号台風よ、被害を出さずすみやかに通り過ぎて行っておくれ。


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     9月25日
長い間音声がダウンしていたミッチーのパソコンだが、ようやくこの前修理に出し、ボクのような美声を取り戻して帰って来た。
キーボードにたまっていたホコリもきれいにお掃除してもらい、まるで新品同様。
修理に出している間、不便さを嫌というほど味わったので、これからはより一層大切に使って行かなくてはと、使用後のふた締めもこまめにやっている。
最初からそんなふうに使っていればよかったのに、何かにがい経験を踏まないと分からないものらしいから、人間様というものは本当にバカな動物だ。
ボクもミッチーを悪いお手本にして、そうならないようにしなければと思う。、
      9月27日
  昨日はミッチー久し振りに遠出して鳥羽まで出かけたらしい。支援費の移動介護の枠を月10時間もらっていながら、今まで使っていなかったので、一度体験してみようと、ちょうど昨日は母上が目の治療に行くことになっていたから、自分のトイレ介助などを休ませてあげようという親孝行を口実に、遊びに行ったという訳だ。毎週金曜日に来てくれているヘルパーさんが同行することになっていて、打ち合わせもし、その日を迎えたのだが、そのヘルパーさんが急に行けなくなり、ミッチーと初対面のヘルパーさんが同行してくれることになったから、親孝行どころか母上には随分心配をかける結果になったらしいが…。
 鳥羽行きを提案してくれ、道案内をかって出たMさんと待ち合わせていた鳥羽駅で無事に会えたから、まずはめでたし! Mさんに同行していたボラさんや、ミッチーのヘルパーさんには少しだけ駅の広場で待っていてもらい、二人でちょっと近くの波止場まで電動で走り、お船を見ながら20分位おしゃべり。その後ボラさんやヘルパーさんも一緒に遊覧船に乗って一時間近く海の上のお散歩を楽しんだそうだ。その船の中で思わず「このまま竜宮城へ行きたいね」などと乙女チックなことを口走ったミッチーだが、残念ながら亀さんのお迎えはなかったとか…。その後駅に戻って、自由行動をしていた運転手さんも呼び寄せ、みんなでランチタイム。その後2時40分過ぎの電車で帰るというMさんを見送ってから、ちょっとおみやげショッピングなどして、ミッチー達も帰路に着いたというのだが…。
「ほんでもってボクへのおみやげは?」
「あら、ロン君へのおみやげは、今のお話よ。いいおみやげでしょ」
「およよ、とっても素敵なおみやげだよ。ありがとう」
「へぇー、今日はやけに素直なのね」
「ミッチーとケンカするのもバカバカしくなって来ただけさ。ボクはこれから少し大人になるよ」



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        11月20日
 セキュリティー警告が出たり、ネットへの接続不良を起こしたり、最近トラブル続きだったミッチーのパソコンだが、ウイルス対策ソフトを入れたり、モデムをUSBからLANに変えたりして、いつでも自動接続でつながるようになり、ご機嫌だ。
 お陰でミッチーの気まぐれで時々更新されるボクの日記も、今日は2ヵ月振り位に皆さんに見てもらえることになった。
 ウイルス対策ソフトを入れたから、もう安心だと思っていたようだが、お師匠様が掲示板で教えてくれているところによると、従来通り定期的なアップデートを繰り返さないと、日々新しくつくられているウイルスには勝てないようだ。しかし今やっと良い状態になったので、よく分からないままあちこちいじって、叉接続不良など起こしたら…と、すっかりおじけづき、アップデートもできずにいる。そんなこともできないようではパソコンユーザーとしての資格もないではないか。どうやらミッチーにはパソコンの基礎学習が必要のようだ。お師匠様、世話のやけるミッチーだが、どうかお見捨てになりませんように…。


         
11月22日
 ミッチーの所に来てくれているヘルパーさんの一人が最近ガイドヘルパーの資格を取ったんだけど、その時の講習で、電動車椅子に乗り損なったのが残念だったというので、今日はそのヘルパーさんを近くの公園まで連れて行って試乗させてやったようだ。
 普通、車椅子や松葉杖は足の不自由な人が手を使って動けるように作られたものであるから、電動車椅子の操作レバーも大体が肘掛けの所についているんだが、手がダメなミッチーの愛車は右足を置くステップの上に操作レバーがついているので、足技が利く人じゃないと動かせない。このヘルパーさんはミッチーの所に来てからすっかり足技も上達し、両手がふさがっている時など、足で物を寄せたりしているので、これならミッチーの愛車も動かせそうだと思い、試乗させてやったらしい。
 速度を低速に設定し、「止まる時はレバーから足を離す」などの簡単な説明をして、愛車をあけ渡して、しばし公園のベンチで監督。
 10メートル程先まで行かせ、Uターンして戻って来させた。
「乗り心地は?」と聞くと、「楽しいね。でもこのレバーもうちょっと離れている方がいいわ」との反応だったそうだ。
そりゃそうだろう、短足のミッチーとは足の長さが違うもんね。(イヒヒヒヒ)







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