1月5日
今年の年明けは、暖冬と言われとる割には寒かったように思うが、皆さんのとこはどうじゃったかの?
 ミッチーも何とかかんとか新しい年を迎えられたが、正月三が日は母上様にお付き合いっちゅうご立派な口実で、喰っちゃ寝喰っちゃ寝で過ごし、早よこんなとこから抜け出さなともがいとった。
 そんな中、姪っ子ちゃんの一人が成人式迎えて、ミッチーや、仏壇のおじいちゃん達にも晴れ着姿を見せに来てくれとった。
このAちゃんは、甥や姪の中でも一番ミッチーと遊んでくれた子なもんで、ミッチーの頭の中には色んな場面のAちゃんの姿が浮かんでは消え、消えては浮かびを繰り返しとったようや。
言葉が早かったもんで、「はーいって」や、足あっぽん」、「ごちさまちちた」などの楽しいオリジナル語もいっぱい聞かしてくれたらしい。
そうそう、三つの祝いの時も着物を着せてもろたが、イヤがって写真も撮らさなんだ子のようや。
ほんでも成人式のこの日、ミッチーの前に現れてくれたAちゃんは、変てこりんな構えのミッチーカメラマンの前でも優しい笑顔でおってくれてのぅ。
残念ながらその写真はどれもこれも見事失敗作はっかやったんやけど、Aちゃんの許しが出たら、紹介するつもりのようや。
もっかAちゃんに交渉中とか…。
あの写真の出来映えやとAちゃんからの返事はないやろけど。


    
1月29日
足腰や首の痛みとはしっかりつきおうとるミッチーじゃが、最近は背中のかゆみがたまらんようや。
先日もEnglish教室で復習を兼ねた
“How are you?”(元気ですか?)っちゅう質問に
“I’m ichy back” (背中がかゆいです)ちゅうて切実な現実を訴えたら、何度目かでどうにか通じて、なんと先生が
「かきましょうか」って言うて、ミッチーの背中かいてくれたんやって!
 ネットで「かゆみ」のキーワードで検索して色々見とったが、かゆみにはコーヒーなどの刺激もあかんらしいわ。
 入浴剤やボディーソープなんぞもあかんか分からんっちゅうんで、そんなもんも使わんことにしようって言うとる。
 この前新型インフルエンザの予防接種受けた整形外科医院でかゆみ止めの薬もろて来てせっせと塗っとるが、かゆみやったら皮膚科へかからんとあかんように思うんやがのう。
成り行き上整形外科にかかる羽目になってしもたんで、このかゆみもいつまでつきあわなあかんことか…。


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          2月20日
  最近よう従姉妹の一人から、自分が着なくなった洋服をゆずられることが多いミッチーじゃが、先日持って来てくれたむらさき色のジャンパーが大層気に入ったみたいや。
軽いしぬくといさか、中は鳥の羽でもはいっとんじゃろうか?
袖丈だけ長かったんで、母上様にうまい具合に縮めてもろたんやが、後はミッチーの体にぴったんこや。
その人も色や軽さが気に入って買ったんやが、ちょっときゅうくつで、一回しか着てないんやって。
ほんでミッチーにくれたっちゅう訳や。
昨日はそれを着込んで散歩に出て、ヘルパーさんに写真撮ってもろて、早速夜にメールに添付して、ジャンパーくれた人に送っとった。
そしたら向こうからも孫の写真送って来たりして、ええ交流になっとる。
わしもこんなお遊び好きやで。

    2月22日
 今日は平成22年2月22日。
なんと“2”が五つ並ぶ日や。
つまりミッチーにとっては、一生に一度の記念すべきスペシャルバースディーとでもいうべき日かいのう。
今年も色んな人からお祝いが届いとるが、なんせスペシャルがつく日なもんで、ちょっとわしもミッチーに聞いてみた。
「なんぞほしいモンあるかいのう?」
「りきまるさんも何かくれるの?}
「どうもややっこしいモンのような気がして、聞くのもおっかないんじゃが…」
「そりゃあ天下のりきまる様に他の人達と同じ要求は失礼ですものね」
「いよいよヤバなって来た感じやな。もったいぶらんと早よ言わんかいな」
「この厄介モノの痛みやかゆみをあずかってほしいなぁ。その間にやりたいこと思いっきりやって、ぐっすり眠ってさ」
「ぐっすり眠った後、引き取りに来るんかいな?」
「それは…」
「…やろなぁ、やっぱり。そんなモン誰があずかるかいな!」
あぁ、やばいやばい。
もうちょっとでどえらいモンしょいこまされるとこやったがな!



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      3月9日
 雨と風の激しい春の嵐の一日。
寒の戻りで叉ミッチールームは暖房をかけとる。
部屋がぬくといと眠気に襲われ、本とかひらいとっても、いつの間にか舟こぎやっとる。
今日もそんなひと時があって、よっぽど足の裏くすぐったろかと思たんじゃが、ちょうどそこへ母上様がおしるこのおやつを持って来てくれ、 おいしいおめざにあずかれた。
 こんな嵐では母上様も外へ出られんで、茶の間で歌の練習しとるそうや。
歌や踊りで小さな舞台に立つことの多い母上様。
こんな楽しみが与えられとるのをミッチーも喜んどる。
家のことやミッチーのことばっかにかかわっとったら、ぼやかれてなげかれて、親子ともにどん底気分やろさかなぁ。


      3月20日
 もともと朝の寝起きのようないミッチーなんで、足腰痛めてからは布団の上で起き上がるのに四苦八苦や。
目覚めてから意識をはっきりさすのにもしばらくかかるし、それから体に力を入れて起きんとあかんのじゃが、これが仲々もってうまいこといかん。
掛け布団スローモーションビデオのように蹴りのけてから、うめき声あげもてうつぶせになり、両足曲げてカエルのような格好になって、まくらに片肘ついて、両足の太ももに力をいれ、上半身を起こすという方法で起きとった。
じゃが、それで肘や首筋痛めてしもたんで、いよいよミッチーもおしまいかと思われた。
ところがじゃ、どこぞで“妖怪ばぁ”などと呼ばれとるミッチーはほんまにしぶとい。
ふと部屋の真ん中にドデーンと幅をきかしとる昇降座椅子に目をつけ、これを起き上がりにも利用しようと思いついたようなんや。
ミッチーの体重より重たい椅子なもんで、掃除する時寄せるのにも大変そうじゃが、ミッチーの力で動かせんっちゅうことは、これを支えにつこたら大いに頼りになるってことや。
布団に寝た状態から仰向きのまま45度頭の位置をずらすと、ちょうど足が椅子に届く。
椅子の回転板の金具に足をかけ、椅子に足を押さえてもらうような形で、直に金具に足をかけると痛いんで、間に座布団はさんだりして起き上がる方法を発明しおった。
これもかなりの腹筋力が要るんで、いつまで続くか分からんが、前のカエルの格好からの起き上がりよりは楽なんで、叉もうしばらくはねばれそうじゃ。


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       4月14日
 ぬくとかったり寒かったりの今年の春は、小雪の中に桜吹雪が舞っとるのがあちこちで見られとるらしい。
そんな中、ミッチーの周りで何かが良い方向へ動き出しそうな気配があるんじゃが、これも新しい出発点に立つ人の多い花の季節にぴったりで、喜ばしいことや。
 どうにもならん現実の壁に押しつぶされそうになりながら、脱出の時を待っとった身近な人に笑顔が戻り、ミッチーや母上もちょっびりそのハッピー気分のお裾分けにあずかっとる。
「今まで色んな人にお世話になって来たけど、それが今こんなふうな形でつながるとはね。本当に不思議な成り行きだわ」
「そうやなぁ、これでMチンもミッチーの厚かましさを見直したんとちゃうか?」
「りきまるさんは?」
「そりゃあもう、ご尊敬申し上げるわ」

    
  4月24日
今度の日曜日は市会議員選挙の投票日なんじゃが、ミッチーは日曜日では行きにくいもんで、昨日市役所まで出向いて済ませて来たんじゃと。
今期は議員定数を少のうするらしいんで、びびり気味の人が多かったんか、新しく立とうっちゅう人も仲々現れんで、このままやったら逆に無投票で行けるっちゅうとこやったらしいんやが、ぎりぎりになって一人立候補して来たんで、一人落とすための選挙戦になったらしいんや。
「ミッチーは何を期待して、誰に入れたんや?」
「そんなの秘密よ」
「わしにも投票権があったらと思うわ」
「りきまるさんに投票権があったら、自分に入れるに決まってるじゃない」
「わかったかいな」
「そりゃあもう一心同体のようなものだからね」




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     5月12日
  ミッチーとこへ来てくれとるヘルパーさんの中に、最近初孫が誕生したっちゅう人がおる。
しばらくヘルパーの仕事も休んで、ばあちゃん修行に行っとったらしいが、人手が少ないゴールデンウイークから復帰して、叉ミッチーの背中こすりに来てくれとる。
三人の子供は女の子ばかりのようじゃが、初孫は男の子やったようで、扱い方が分からんとかって言いながらも、結構嬉しそうにしとる。
 生まれるまでは
「絶対に『おばあちゃん』なんて呼ばせない!」っちゅうて頑張っとったが、その腕に抱っこできるようになった今は、そんなことすっかり忘れ、自分から
「ばーばがね…」なんっちゅうて、話しかけとるみたいや。
 ところでこの“ばーば”で面白いことを発見した。
真ん中の棒を最後につけると口ぎたない響きがあるのに、こんなふうに真ん中につけると可愛い響きになるんじゃのう。
この新米ばーばにはぴったりや。

       5月31日
 ミッチーの行っとる教会では、時々礼拝の後で“愛餐会”っちゅうて、そこに集う人達の交流を目的とした昼食会をやっとる。
昨日は牧師婦人達が作ってくれた炊き込みご飯やサラダなどで15人程がテーブルを囲み、ミッチーもそれに加わったそうや。
ミッチーの腹には多いと思われる一皿も見事に完食して、ミッチーの両脇で介助してくれた人達をびっくりさせたらしい。
帰ってから、その時のちょっと面白い話を聞かしてもろた。
わかめ入りのすまし汁をストローで吸わしてもろとったら、ストローにわかめが詰まってしもうた。
それでも汁は吸い上げられるんで、何のおかまいもなくすまし汁は飲ましてもろたんやが、その後でコーヒーが出された時、そのわかめが詰まったままのストローでコーヒーも飲むことになってしもたんで、皆さんの注目を浴びることになったらしい。
「わかめ入りコーヒーもおいしいわ」などと、いつものようにアホなこと言うてコーヒータイムを楽しんどったが、最後の一息で見事わかめも吸い上げられ、めでたく胃袋にゴールインと相成ったそうや。
その場はもちろん大爆笑!
教会にはおおよそふさわしくないかも知れんが、この日の愛餐会のフィナーレを飾ったわかめに乾杯!


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      6月7日
 自分の誕生日には皿とフォークを持って行くんでお祝いしてくれっちゅう妹ぎみに、ほんじゃあ足作りケーキでも作ろうかっちゅうて、冗談半分に応じとったミッチーじゃが、この日がちょうどヘルパーさんに色々やってもらえる日になっとるんで、ほんまにケーキ作ってもええなって思いついて、やってもうたがな。
っちゅうても、土台のスポンジ買うて来て、絞り出しの生クリームとキィウイフルーツやサクランボなどのっけただけじゃがのう。
いつも調理は台所でするんじゃが、今日はガスや水使う必要もないんで、皿やスプーンミッチールームへ持ち込み、小さな台一つ置いて、その上でのケーキ作りや。
なんでこんなとこでしたんか言うたら、ほんまに足作りケーキ作るためや。
っちゅうても、クリームのしぼり出しと、それをちょっとのばしただけのことやがのう。
そんなとこをヘルパーさんがカメラで写しとった。
「せっかくの写真だから、ケーキ食べてもらってから、この写真もプレゼントしようっと!」
「そりゃあ、食べる前にそんなの見せたら、食べてくれんわな」
「だれも食べなきゃりきまるさんに回って来るから、その方がいいんじゃない」
「げっ!}






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      7月5日
 くしゃみする度に上に一本残っとる歯が下のおとなしゅうしとる歯を攻撃するんで、ぐらぐらになってもうて、土台の歯ぐきは腫れ上がるし、痛いしで、さすがのミッチーもたまらず歯医者へ駆け込んだら、抜くしかないっちゅうことになり、けど、腫れがひかんことにはどうにも手がつけられんので、薬で痛みと腫れを押さえといて、一週間後に抜いてもろて来た。
歯医者にとってミッチーのような患者は対処しにくいんで、まっぴらご免って言われても仕方あらへんとこやのに、そこの歯医者は随分とご親切で、ついでに歯垢も取ってやるっちゅうて、引き続き歯垢取りに行くことになったんやて。
 若い時から読書などで痛めとる首っ玉も悲鳴あげとるし、休むことでリフレッシュできるんやったら、しばらくおとなしゅうしとった方がええんやが、ここまで来たらもうそれは望めそうもないし、一日動かんとったら、もう二度と動けんようになりそうで怖いんじゃっちゅうて、おてんばおばさん続けようやなんて言うちょるが、さてはてそれもいつまで続くかのう。

       
7月21日
梅雨の間もずっと蒸し暑い日が続いとったが、明けたら明けたで、これまたかんかん照りの暑さじゃ。
あれほど雨をイヤがっとった母上様も、今度は真夏の太陽の強さに負けて、叉々外へ出られんっちゅうて、ざぁーっと一雨降ってちょっと涼しなってくれたらええのに…などと言うちょる。
 食欲も湧かんので、昨夜はそうめんをつるつるすすっとたが、そこへ思いがけのうどこからかおいしいデザートが届いたんで、ミッチーは大喜びや。
弟ぎみの職場関係の人で、ミッチーの知り合いでもある人からのお裾分けや。
毎日大変な中から暇を見つけ、手作りのパンやお菓子など作って、みんなにふるもうとる人で、昨夜ミッチーとこへ届いたのはヨーグルトケーキのようや。
おいしかったんで、ミッチーも真似して作ってみようかって言うとる。

      7月24日
  畑の枝豆が少しとれたんで、それをつまみにビールでも飲もうかと、ご近所のHちゃんを誘ったら、のっかって来て、ビールやチューハイたくさん持ち込んで来てくれ、真夏の夜の小宴会と相成った。。
お姑さんの行動や言動に悩まされとるらしいHちゃんやさか、ここぞとばかり色々ぶちまけ、日頃のストレス発散や。
ミッチーもちょっとばかしチューハイ飲ましてもろて、一緒にしゃべっとる母上様をこけおとしとったがな。
あーぁ、この後就寝介助してもらわんならんのに、ええんかいなぁ。
わしゃ知らんぞな。


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      8月3日
ミッチーの行っとる教会の牧師先生が、わしのこのページを見てくれとるらしい。
「その先生ってどこの人や?」
「出身は滋賀県だって言ってたけど…」
「そんなとこの人やったら、わしの言葉も通じるかいのう?」
「大丈夫よ。日本各地の方言どころか、奥様がイギリスの人だから、英語もべらべらだし、教会に来ている人の中には英語の教師をしている外国人の素敵な青年もいるしね。まぁちょっとあやしいのはミッチー語ぐらいかしら」
「そんならええけど…。ほんでもそんな人が見てくれとるんやったら、たまにはもうちょっとかしこいことも書かんとあかんのとちゃうか?」
「私のこと報告してくれてるんだから、かしこいことなんて無理でしょう」
「そんなこと言わんと、たまにはもうちょっとましな行動でも起こして、その先生喜ばしたりぃや」
「バカな放蕩オバサンの行動や言動を、皆さんの喜ぶように書いてくれるのがりきまるさんの仕事でしょ」
「あのなぁ、ミッチー」
「なによぉ?」
「もうええわ!」

     8月31日
8月も今日で終わりやのに、相変わらず真夏の暑さが続いとる。
扇風機だけやったら、座っとるだけのミッチーでも頭から汗がじわじわ湧き出とる。
シャワー浴させてもろた後すぐに汗かいたら、どうにももったいないんで、エアコンかけてリフレッシュしとるが、今日はそのシャワー欲もない日なもんで、朝から汗まみれや。
今年の残暑は10月過ぎまで続くっちゅうことや。
それから一気に冷え込み、冬に突入するんで、今年は秋がないっちゅうことやがな。
こんな異常気象による熱中症とかで、亡うなる人もいまだに出とるようで気の毒なことやのう。
人間様だけやのうて、一年中毛皮を着とるわしら動物はもっと大変な夏や。
ご近所のばぁさん猫も暑さにやられたんか、飲み食いせんようになったんやちゅうて飼い主が騒いどったら、それから何度も行方不明になって、隣近所に捜索願い出して、よう探し回っとる。
猫っちゅうモンは自分の最期を察知すると、人の目から遠ざかって行く習性があるらしい。
それがわかっとったら、追いかけたりせんと、好きなとこへ行かしたってほしいがのう。


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  9月14日
朝晩涼しゅうなったんで、ほっと一息や。
一昨日いつものようにパソコンに向こて友達のブログのぞいとったミッチー、突然
「わぁー、かーっちょいい!」やなんて叫びおったんで、
「なんやいな?」と、思わずパソコンの画面のぞいてしもた。陸上競技場のトラックを車椅子で走っとるらしいKさんの写真があるんじゃが、電動やのにレバー握ってないんや。
その下に書いとる説明文読んで、わしもなるほどと納得。
これは伊勢総合競技場で開かれた身障者スポーツ大会に参加した時の写真で、彼女は足こぎの50メートル走に出場したらしい。
「そんな大会に足こぎ部門もあるなんて嬉しいじゃない。ねぇ、りきまるさん、私もこれに出たいよ」
「そうやなぁ、陸上競技場のトラックなら、坂道もないさか、どんなタイムでもええんやったら、ミッチーも出れるやろけどな」
「うん。やりたいよぉ」
「ミッチーが本気でそんなこと言うのめずらしいやないか」
「ダメになる体がわかってるから、少しでも動けるうちにできそうなことやっておきたいのよ」
「それはわかっとるけど、このスポーツ大会は毎年伊勢やろ? どうやってそこまで行くかやな。それと…そんなことらせんでええっちゅう人も絶対出て来るさか、それにどう対応するかや」
「わかってるわよ」
「まぁ今から色んな人に言うといたら、中には一人ぐらい味方になってくれたり、応援してくれる人もおるかも知れんけどな」
「そうかしらねぇ」
「そうかしらねぇって、そうなるようにせな実現できんがな」
「そうなのよね」
「こりゃああかんわ」
「りきまるさんまでそんなこと言わないでよ」
「よっしゃ、そしたらわしの鼻息で伊勢まで吹っ飛ばしたるわ!」


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       10月19日
 
子供の頃から鼻の悪いミッチー、ちょっと前までわしらが考えられんような格好でよう鼻かんどったが、何年か前右足のつけ根部分を痛めてしもうてから、そのグロテスクな姿も段々見られんようになった。
ってことは、つまり鼻をようかまんようになったとっちゅうことで、いっつも鼻の不快感おぼえながら過ごしとる訳や。
食事の時も息苦しそうやし、言葉もますます出難くなってしもうて、実生活での意志の疎通やコミュニケーションにも支障をきたしとる。
 ヘルパーさんへの要求も通じにくうなってお互いじりじりすることがある。
指で字を書き示す伝達方法で、この問題を乗り越えたいところじゃが、床や地面に書いても見る方向によって分かりにくいこともあるようや。
そこで相手の背中へ書く方法を考えた。
これが見事大当たりして、分かりやすなったとヘルパーさんにも好評や。
口の言葉が通じん時は、この背中文字がこれから力を発揮しそうや。

      10月27日
 弟ぎみの今の職場の人達は、ほとんどミッチーの知り合いなんじゃが、そんなことから弟ぎみを通してミッチーに届け物をしてくれる人達がおる。
ミッチーが何をしてやった訳でもない人達なんじゃが、こんなふうに心に掛けてくれとる人達が多いのはいったいどういうことなんじゃろうのう?
昨日も、親戚からもらったものやけどっちゅうて、なんとマツタケのお裾分けにあずかった。
ほんで今日は母上様がマツタケごはんを炊いてくれるらしい。
わしのとこにもマツタケのかおりぐらいは届くかいのう。

    

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11月9日
今月に入って間もなく、早くも一通の年賀の差し止め状を受け取ったが、それはミッチーにとって一人の友の召天を知らされるものになった。
 その人とは子供の頃からの知り合いで、お互いに若かった頃はようミッチーがその人の家へ遊びに行ったりもしとったそうや。
ミッチーよりハンディーが重かったんで、大変な状況も想像できたが、ここ十年ほど会ってなかったんで、近況を確かめることもできなんだらしい。
「Rちゃんも不自由な体から解放されて、広い世界を見下ろしているかなぁ」とボソリ。
 そんな人のことを別の友達とメールで話しとったら、その友達の子供が難しい病気で入院中だとわかったりして、
「何だか近頃悪いことでびっくりさせられることばかりだわ」としょげとる。
あれを思い、これを思いのミッチーの晩秋…。

       
11月21日
 暖かい陽射しの日曜日。
今日はミッチーの家では父上様の召天二年目の記念会をやったんや。
仏教では何でか知らんが 二年目に三周忌の法要っちゅうのをやるようで、それが今日のミッチーの言う記念会や。
ミッチーも父上のことを思い出に浸りながら、お寺、お墓と回って、家族と親戚の伯父さん夫婦一組が集まって昼食のお膳に向かう。
そして食べたら、みんな、ハイさようならや。
「おいミッチー、ほんまにこんな記念会でええんかいな? 父上の思い出文集でも作って、みんなに持って行ってもろたらよかったのに…。これやったら何にも残らへんがな。 しっかりしいや!」
「そうなのよね。私も何かしたかったんだけど、なぜだか何もできなくて…。娘失格ね」
「いやいや、父上はいつもミッチーのこと喜んで見てくれとるやろけどな」



                
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        12月7日   
 昼間一人でいる時間も多いミッチーを気にかけてくれとるヘルパーさんと、昨日こんな話をしとった。
「誰もおらん時、トイレに行きたくなったらどうすんの?」
「じっと我慢の子でおるよ」
「トイレの我慢はつらいやろね」
「そうなんさ、トイレの我慢せんならんのだけは困るわ」
「そうやろね」
ひと呼吸置いて、
「♪こまっちゃうなァ、トイレに行きたくて…」などと、懐メロのメロディー引っ張り出して ミッチーが歌い出す。
ヘルパーさんもひと笑いした後、
「そうや、私これの変え歌作るわ」なんっちゅうて、即席でこんな歌を作ってもうた。

こまっちゃうなァ トイレにいきたくて
どうしよう おもらししちゃいそうよ
ゴロゴロピーピ いたいような
じりじりしちゃう わたしのしり
ママはいまごろ
たのしいカラオケ おどりのおけいこ
こまっちゃうなァ トイレにいきたくて…


悲惨な状況も、こんな楽しいデートの歌のメロディーにのせると、全然こまっとるように見えんがな。


      
12月28日
  「早よせぇな間に合わへんぞ」と口うるそう言うとるのに、仲々取りかからへんで、わしもさじ投げとった年賀状作りを昨日あたりから本格的にやり始めたミッチーじゃ。
裏面印刷して、宛名印刷をやっとったんじゃが、パソコンの住所録に入っとる人全員に出す必要もないんで、所々飛ばして行かなあかんで、時々中断して、印刷開始コードと終了コードの番号を入れ直しながら進めて行くんやけど、その作業の途中で母上様が部屋に現れたもんで、そっちの方に気を取られたんか、開始コード番号を終了番号のとこに入れて、終了コード番号を、その下の印刷部数設定のとこに入れてしもうたようで、次々と同じ宛名が何枚も何枚も印刷されるやないか!
「おいミッチー、あかんがな。早よとめんかい、早よ…」と叫び続けたんやけど、ミッチーもあわてとるもんで何をどうしたらええか頭が全然働かへん。
見る見るうちにプリンターに入っとる葉書全部に同じ宛名が印刷されてしもた。
あーぁ、これで出そうと思とった半分ほどの人には出せんようになってもうた。
さて年明けにミッチーからの年賀状受け取れる幸運な人はどなたさんやろ?












              
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